高城剛氏デザインバッグの使用テスト
忘れた頃に景品が届いた。高城剛氏がプロデュースする衣類、収納道具類の中でおそらく、氏が力を入れているであろう道具、バッグを試す機会を得る事ができた。本製品は非売品であるが、原型となるバッグは別の素材で世に出回っているが、本品は、高城剛氏の運営する有料ブログの読者限定に公開される、Webページ内でしか購入する事ができないし、購入機会を得る事ができても、入手困難であるほど希少で人気が高い。
高城剛氏の持論は、(旅において)携行する持ち物の軽さと移動距離は比例する、というもので、氏が世界中を縦横無尽に飛び回る中で、携行する持ち物がどんどん少なくなったという。この辺りの哲学は、著書『LIFE PACKING』に詳しく書かれている。本シリーズは2回バージョンアップを遂げ、2014年、2016年、2020年に3冊リリースされ、外伝として(?)2022年に『NEXTRAVELER FILM&TOOLS 未来につながる創造的ツールと使い方』を刊行している。
これら著作に書かれたモノ達の変遷を辿ると、高城剛氏は当初、バッグ類や衣類は既製品から選択して、世界各地の過酷な環境(いわゆる『バトルフィールド』)で試行錯誤や持ち物の入れ替えを行い、生き残ったモノをピックアップしていた。そのうち、既製品に満足できず、かつ縫製工場など製品の生産依頼を行うことの障壁が低くなったことも後押しし、高城剛氏オリジナルのバッグや衣類が誕生するに至った。その集大成が『NEXTRAVELER FILM&TOOLS 未来につながる創造的ツールと使い方』に紹介されており、さながら「千住会のカタログ販売」のように氏のオリジナル製品が紹介されていた。
果たしてそれら製品というと、私が高城剛氏の著作で確認した限りは、まだ製品は開発途上である印象が強い。実物に触る機会がなかったのであるが、材料の擦過に対する強度設計や、材料選定が甘いかなと思った。高城剛氏のデザインするバックパックは、軽量であることが特徴で、キューベンファイバーを用いたファブリックを、メインの布に使用している。これはバックパックの筐体で使われるのだが、底材にもそのまま使われている。メルカリでみる中古品の中には、底が破けたものが見られるため、地面に何度もおいていると、擦り切れてしまうのではと思った。一般に売られているバックパックは、必ずと言って良いほど、底に使われる材料には、厚手の生地が使用されている。唯一と言える例外は、ウルトラライト系のバックパックであろう。
今回頂いたバッグに使われている生地は、「ベンタイル」と呼ばれる綿生地で、綿の糸を高密度で編み上げた生地であるとのこと。水や風を通しにくく、通気は可能とのこと。この辺の性能評価も行おうと、バックパック形態にして背負い、散歩しながら使用感をレビューした。
上の写真は、春の晴れの日に2時間ほど歩いた後の背面の状態である。このバッグは6WAYと呼ばれる様々な持ち方に対応するバッグなので、背面に特別な生地があてがわれていない。ベンタイルは完全防水でないことや、常に水蒸気が付着する状況では、写真のように汗が染み込む結果となった。雨が降った際の使用はのちにテストするが、撥水性がある生地でも水は浸透するので、大雨の時は内部まで染み込むのかもしれない。
このバッグの良いところとしては、ショルダーストラップに、背面との密着性を高めるためのアジャスターがついていること。これはトレッキング用のザックでは普通についているものだが、これがあると背面への密着度合いを調整できるので好みである。ビジネス用リュックにも通常はついていないので、非常に良かった。
ちなみに背面は、サーマレストの座布団を使用している。これは背面がしっかりしていないザックを補強する上ではとても使い回しが良い。背中への負担も少し減る気がする。なお、横型にしたときはかろうじて自立する構造であるが、縦型にすると、補強をしないと自立させるのに苦労する。
このバッグは、ものを細かく分類して入れるためには、バッグインバッグが必須になる。コストを低減させることと、自由度を上げるために、中にペン入れやスマートフォン入れなどの仕切りを入れていないのであるが、普通のビジネスバッグを使用している方には、物足りなく感じると思う。このへんのノウハウは、別の機会に書きたいと思う。
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